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小さな地方博物館が「三国志文化」の人気に火をつけた 漢中市勉県

【12⽉11⽇ Peopleʼs Daily】三国時代は中国史の中でも特に人気が高い。当時の魏と蜀の争いで重要だった場所が漢中だ。そして「定軍山を得れば漢中を得る。漢中を得れば天下を得る」との言葉がある。定軍山があるのは現在の地名で言えば陝西省Shaanxi)漢中市(Hanzhong)勉県(Mian)だ。

勉県博物館では、日本の「まきびし」と同様に使った銅製の武具、「魏黄初7年造」の銘がある銅製の弩(ボウガン)、後漢の時代に作られた灰陶製四合院の建築模型など、他ではめったに見られない文化財が多く展示されている。館内に足を踏み入れると、まるで三国時代にタイムスリップしたような気分になるほどだ。

勉県博物館は約2000点の文化財を所蔵する。代々の博物館関係者の努力により、発掘調査で出土したり、あるいは購入したり寄贈されたものだ。同館の所蔵品は中国国家博物館(National Museum of China)、中国人民革命軍事博物館、陝西歴史博物館、日本、米国、英国などでも展示されたことがある。

同博物館の肖勇勤(Xiao Yongqin)副館長は、長年にわたり館のあり方を考えてきた。省の博物館に足を運ぶ人は多いが、三国時代文化財は少なく、むしろ勉県博物館の方が多い。肖副館長は、人びとの文化財に対する愛を育むには、長い時間をかけて人びとの間に浸透するしかないと考えた。

そこで、館として「文化財を説き、物語を語る」というシリーズのショート動画を撮影し抖音(Douyin)で毎週1本公開することにした。その他の微信ウィーチャットWeChat)や微博(ウェイボ、Weibo)といったSNSでも歴史や伝統文化、館の取り組みを中心に紹介しつづけている。

新たな宣伝方式は奏功している。2023年のメーデー連休に勉県博物館の入館者は2019年同期比で少なくとも30%は増加した。肖副館長は「文化財の保護と文化活動の普及は『任重くして道遠し』です。背後にある物語をしっかりと語り、文化財を生かし、派手ではなくても努力を続けてこそ、より多くの人が三国時代の文化を愛し、ひいては中国の歴史を理解してもらえるのです」と述べた。

勉県博物館による三国時代の文化への取り組みは、漢中市が特色ある文化を掘り起こし、文と旅の融合発展を模索している縮図だ。古い歴史と文化のある漢中市には、世界文化遺産に登録されている張騫(Zhang Qian)の墓、世界灌漑プロジェクト遺産に登録されている「漢中三堰」、国家大遺跡保護プロジェクトに登録されている竜崗寺の遺跡など豊富な観光資源がある。

 漢中市は数年前から張騫祭祀大典、諸葛亮(Zhuge Liang)文化観光祭などを代表とする文化体験を創出し、地域の文化資源を系統的に掘り起こしてきた。古い文化財を単純に紹介するだけでなく、古い踊りや音楽を再現する舞台や、無形文化財に登録されている食べ物など体験型の文化観光の提供だ。

 今年のメーデー連休中、漢中市内では130件余りの文化旅行イベントが行われた。市での観光客数と観光収入は2019年同期の水準を大きく上回った。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News