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没入型文化観光が新たな職業を生む 中国・西安市で漢服が人気

 

【CNS】夕暮れが近づき、中国・陝西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)の大雁塔(Big Wild Goose Pagoda)の近くにある漢服ショップは一日で最も忙しい時間に入る。オーナーの朱琇琰(Zhu Xiuyan)さんは店に入ったばかりのお客に漢服の知識を説明し、服選びとコーディネートをしている。

 

 西安は観光資源が豊富で、毎年大勢の観光客を引き付けている。文化観光市場の消費需要の多元化が進むにつれ、地元は文芸の息吹と没入型文化観光プロジェクトに注力し、以前はマイナーだった漢服が文化観光産業のインフルエンサープロジェクトに変わっている。その中で、漢服のメークアップスタイリストは新興職業として、新消費シーンにおける新たな雇用機会を生み出している。

 

 朱さんは近年、中国の伝統文化が若い世代にますます愛されるようになり、誰もが漢服を着てタイムスリップしたような感覚を楽しむのに加え、メークアップ・スタイリングの背後にある歴史的文化を知ることへのニーズも出てきたと述べた。

 

 さらに朱さんは、熟練した漢服のメークアップスタイリストになるためには、少なくとも1年の体系的な学習が必要だと指摘した。彼女によれば、「全業界で、古風なメークは映像特殊メークに次ぐ難易度で、誰もが知っている『ウエディングメーク』よりもはるかに複雑だ」という。現在、優れたメークアップスタイリストはなかなか見つからず、これが規模の拡大を制限する最大の要因となっている。

 

 中国最大の生活総合プラットフォーマーの美団(Meituan)のデータによると、今年に入ってから漢服体験に関連する注文数は前年比で307.9%増加した。西安、嘉興市(Jiaxing)、蘇州市(Suzhou)、洛陽市(Luoyang)、南京市(Nanjing)がオンライン注文数の上位5都市となっている。

 

 西安だけでなく、洛陽、杭州市(Hangzhou)、敦煌市(Dunhuang)、大理市(Dali)などの地域でも漢服の人気が高まり、プロの漢服メークアップスタイリストも多く現れた。

 

 中国のデータ分析企業「艾媒諮詢(iiMedia Research)」が発表した「2022年~2023年中国漢服産業の現状および消費行動データ研究報告書」によると、2021年には中国の漢服市場の規模が100億元(約2000億円)を超えた。2025年には2015年の100倍の191億1000万元(約3822億円)に達し、今後も成長の余地が大きいと予測されている。

 

 業界関係者は、地域の生活サービスプラットフォームやソーシャルネットワークプラットフォームの推進により、伝統文化がますます若年の消費者層で好まれるようになっている。漢服体験が文化観光の新しいシーンとなり、地域の文化観光消費の繁栄を促進すると同時に、漢服メークアップスタイリストや漢服デザイナーなどの新興職業も生み、雇用創出にも貢献していると指摘した。(c)CNS/JCM/AFPBB News

 

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。